このページでは、遺言がある場合の相続手続についてまとめています。遺言がある場合は、遺言の内容に従って相続手続を進めることになります。厳密には、遺言の内容によってかわる場合もありますが、わかりにくくなるため、ここでは細かい内容までは触れていません
シンプルですが、遺言がある場合を前提とした相続手続を時系列にまとめました。
1 はじめに
遺言がある場合は、概要以下の流れで進むことになります。
遺言がある場合でも、遺言で受遺者、受贈者が決まっていない資産がある場合や、遺言が割合的包括遺贈(例えば、2分の1はAに遺贈する、2分の1はBに遺贈するといった内容の遺言)などの場合は遺産分割協議が必要になります。
遺言にどのような内容があるかについて以下のリンク先をご参照ください。
2 遺言検認・開封
・保管者又は発見者は、遺言の検認を、遅滞なく行う必要があります(民法1004条)
・公正証書遺言及び遺言保管所に保管されていた遺言書は検認が不要です。
遺言の種類については以下のリンク先をご参照ください。
3 相続放棄をする場合は、相続開始を知った時から3か月以内に行う必要があります。
遺言があったとしても、相続人は被相続人(=亡くなった方)の債務を承継する可能性あります。よって、遺言の有無にかかわらず、相続放棄をすべき要請はあります。
相続放棄は、相続開始を知った日から3か月以内に申述をしなければなりません(民法915条、938条)。
4 準確定申告
・被相続人に確定申告義務がある場合で、かつ給与所得者で年末調整されない場合、被相続人の1月1日から亡くなる日までの所得にかかる所得税・消費税の申告をする必要があります(所得税法125条)。
これを準確定申告と言います。
・相続人は、相続開始を知った日から4か月以内に準確定申告及び納税をする必要があります(当該税額は、相続税の申告上、相続財産から差し引くことが可能です)。怠ると、相続人に無申告加算税、延滞税等が課せられる可能性がありまする(所得税法124条、125条)。
5 遺言の執行
遺言の内容に沿って、遺言を執行します。
遺言執行者が指定されている場合又は選任されている場合は遺言執行者が、遺言執行者がいない場合は相続人が執行をします。なお、相続人による執行ができない(遺言執行者のみが執行できる)事項もあります。
また、内容によっては、遺言執行者が行うべき執行行為がない場合もあります。
詳しくは、以下のリンク先をご参照ください。
なお、相続人や受遺者に意思能力に問題がある者、未成年者、不在者(行方不明者)がいる場合は、一定の対応をすべき場合があります。詳しくは以下のリンク先をご確認下さい。
6 相続税の申告は相続開始から10か月以内に行う必要があります。
相続税は相続開始から10か月以内に申告及び納税を行う必要があります(相続製法27条1項)
遺産が未分割の状態でも、法定相続分で課税計算をして、申告期限内に相続税は申告をしなければなりません(相続税法55条)。また、遺産が未分割の場合、配偶者税額軽減など、一定の制度の適用が受けられないので注意が必要です(相続税19の2条2項)。
7 遺留分減殺請求
遺言の内容が、遺留分を侵害している場合は、遺留分侵害額請求が問題となります。
・遺留分侵害額請求は、相続開始を知った時から1年以内に行う必要があります(民法1048条)。
・また、相続開始を知らなかった場合であっても、相続開始から10年で行使できなくなります(民法1048条)。
遺留分侵害額請求については、以下のリンク先をご参照ください。
また、遺留分による紛争の防止策(遺留分の放棄を含む)については、以下のリンク先をご参照ください。