このページでは暦年課税と相続時精算課税制度の比較について整理しています。
暦年贈与は、通常の贈与を指します。相続時精算課税制度は、贈与税の特例になります。相続時精算課税制度は、少々わかりにくいので、比較をすることでご理解を頂ければと思い、載せております。
項目 | 暦年課税制度 (相続性法21条~21条の8) | 相続時精算課税制度 (相続税法21条の9~21条の18) |
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概要 | 暦年( 1月1日から12月31日までの1年間)毎に、贈与額に対して課税する制度 | 贈与時には軽減された贈与税となり、相続時に相続税で精算します |
対象となる贈与 | 制限ありません | 60歳以上の親から20歳以上の推定相続人に対する贈与のみです 推定相続人とは相続が開始した場合に相続人となるべき者(民法892条)をいいます。子が死亡している場合は20歳以上の孫でも可能です。 |
届出 | 不要 | 選択の届出が必要 一度選択すると、相続時まで継続適用され暦年課税には変更できません |
控除(非課税枠) | 基礎控除額110万円(贈与を受ける人毎に) | 毎年110万円及び、累計で2500万円(限度額まで複数年で使用ができます) |
税率 | 10%~55% | 20% |
相続時の対応 | ・相続開始前7年以内の贈与を除き、相続税とは無関係 です。 ・相続開始前7年以内に支払った贈与税額は相続税額から控除されます。 ・相続放棄をすれば相続税を納付する義務は無くなります。 | ・相続時に全額を精算します。 ・贈与財産は贈与時の時価で計算されるため、贈与時以降の時価の変動は相続税額に影響しません。 よって、株式評価が低いうちに贈与をすれば、贈与後の時価評価の上昇分相続税をおさえることができます。逆に、贈与後に時価評価が下がっても、相続税は贈与時の時価で計算されることになります。なお、贈与時の時価で計算されるのは、あくまでの相続税計算だけであり、遺留分の計算上は相続開始時で計算されます(最判S51.3.18)。 ・支払った贈与税額は相続税額から控除されます。 ・相続放棄をしても相続税を納付する義務は残ります。 |
主なデメリット | ・非課税枠が小さい。 ・累進課税で、多額の贈与を行うと税率が高い。 | ・少額の贈与でも毎年申告が必要 ・一度選択すると暦年課税に戻れません(相続税法21条の9第6項)。届出以降の当該贈与者からの贈与はすべて相続時精算課税制度の対象となります(相続税法21条の9第2項)。 ・贈与されたものが値下がりした場合、節税の目的に反することになります。 |