このページでは、例外的に遺産分割協議の当事者になる者についてまとめています。
相続人以外で、遺産分割協議の当事者になる場合がある者は、相続分の譲受人、②相続人の親権者、不在者財産管理人、などがありえます。それぞれ、個別にご説明致します。
1 相続分の譲受人
相続分を譲渡した相続人は、遺産分割の当事者からはずれます。相続分の譲渡については、以下のリンク先をご参照下さい。
相続人間で相続分が譲渡された場合、積極財産と消極財産とを包括した遺産全体に対する譲渡人の割合的な持分が譲受人に移転し、譲受人は従前から有していた相続分と新たに取得した相続分とを合計した相続分を有する者として遺産分割に加わることとなり、分割が実行されれば、その結果に従って相続開始時にさかのぼって被相続人からの直接的な権利移転が生じるとされています(最判H13.7.10)。
なお、相続分全部を譲渡した者は、遺産確認の訴えの当事者適格を失います(最判H26.2.14)。
2 相続人の親権者、成年後見人等
⑴ 親権者又は未成年後見人
相続人又は包括受遺者が未成年者の場合、親権者又は未成年後見人が法定代理人として参加します(家事事件手続法17条1項、民事訴訟法31条)。協議の時点であれば、本人が親権者又は未成年後見人の同意を得て行うことも可能です。
なお、未成年者も法定代理人も相続人の場合、特別代理人(民法836条)の選任が必要です。親権者が相続人である数人の子を代理してした遺産分割の協議は、追認のない限り無効となるため(最判S48.4.24)、この場合も特別代理人(民法826条)の選任が必要です。
⑵ 成年後見人
相続人又は包括受遺者が成年被後見人の場合、成年後見人が参加します(民法859条、家事事件手続法17条1項、民事訴訟法31条)
なお、成年後見人と成年被後見人がいずれも相続人となる場合、特別代理人の選任が必要です(民法826条、860条)。
なお、相続人又は包括受遺者が被保佐人の場合は保佐人の同意が、被補助人の場合は補助人の同意が必要となることが多いです(いずれも同意ですので、当事者は変更しません)。
3 不在者財産管理人
相続人又は包括受遺者が不在者(「従来の住所又は居所を去った者」)である場合、利害関係人申立により不在者財産管理人が選任され(民法25条1項)、参加することがあります。
不在者財産管理人は、遺産分割協議に参加することや、協議内容につき承諾する場合には、家庭裁判所の許可が必要です(民法953条、28条)。
4 破産管財人
相続人又は包括受遺者に破産手続開始決定がなされた場合、破産管財人が参加することがあります(但し、争いがあります)。
5 相続財産管理人
相続人又は包括受遺者が遺産分割協議前に死亡した場合で、その死亡した者の相続人の存否が不明ないし存在しない場合、相続財産管理人が選任され(民法951条、952条、家事事件手続法203条1号)、当事者として参加することがあります。
相続人存否不明の場合について詳しく知りたい方は以下のリンク先をご参照下さい。
6 遺言執行者(民法1012条)
遺言と異なる遺産分割調停を行う場合に、遺言執行者が、利害関係参加をすることがあります(家事事件手続法258条、42条2項準用)